子どもが家であまり勉強しない
「勉強しなさい!」と頭ごなしに言ったところで、ただでさえストレスを感じている子どもにとっては逆効果。
「勉強する意味が分からない」とか「受験したくない」と抵抗してくるかもしれません。
実は多くの場合、親の側で考え方とアプローチ方法を少し変えるだけで良い変化が見られます。
この記事では、子どもが勉強しない理由と、実際に効果を発揮してきた勉強のモチベーションを上げる方法をご紹介します。
特に模試での志望校判定が悪かったりすると親子ともにやる気をなくしがちです。
模試結果の正しい受け止め方、子どもを励ます方法については以下の記事で詳しく説明しています。
子どもが勉強しない8つの原因
自分の気持ちや考えを上手に伝えるのは、大人でも難しいと感じます。
思春期の子どもであればなおさら、自分の内面を表現するのが難しくなるかもしれません。
それで、子どもが勉強しない理由を親がくみ取ってあげることが大切になってきます。
子どもの気持ちをくみ取るのが難しいとしても、そう感じるのはあなただけではありません。
同じ悩みを乗り越えてきた先輩たちの声も参考にしつつ、子どもが勉強しない8つの理由を探っていきましょう。
えっ、これも?受験生が親に言われるとモチベーションが下がるフレーズを以下の記事で特集しました。
身体的・精神的に疲れ切っている
学校生活を楽しんでいる子どもでも、色々なストレスを感じるものです。
クラスが楽しくなかったりするなら、余計に精神的に疲れてしまうでしょう。
特に、小さなことも気になる多感な時期は、学校生活だけでエネルギーを使い果たしてしまうかもしれません。
身体的・精神的に疲れた状態では、勉強しろと言われても無理な話です。
まずは、十分な睡眠と栄養をとれるように子どもを助けましょう。
忙しくて十分な栄養サポートが難しい場合は、サプリメントを活用するのも良い方法です。
受験生である実感がない
当然ですが子どもは受験の経験がなく、挫折したこともないでしょう。
志望校に落ちるとどんな気持ちになるか、その後の生活にどんな影響があるか想像がつかないのです。
勉強に関して危機感を持つタイミングが、親が思っている以上に遅い場合も多いようです。
周りの友だちが塾に通い始めたとか、志望校の過去問が解けなかった瞬間かもしれません。
受験のプレッシャーを必要以上にかけるのは逆効果です。
しかし、勉強へのスイッチを用意してあげることはできるでしょう。
勉強の仕方がわからない
勉強する気はあっても、仕方が分からないというケースもあります。
ある塾の講師に聞いたのですが、子どもから受ける質問は問題の解き方より勉強の仕方に関する質問の方が圧倒的に多いそうです。
難しくてできなかったり、ついていけなくて意欲を失ってしまうと、あきらめの気持ちが強くなってしまうかもしれません。
やる気がないと決めつけてしまう前に、勉強しようと頑張っているお子さんの気持ちに寄り添ってあげましょう。
「勉強=苦痛」というイメージがある
勉強に苦手意識があって、そのイメージがぬぐえない場合もあります。
以下のようなシチュエーションで苦手意識が生まれます。
- みんなの前で間違って恥ずかしい思いをした
- できる子と比較されて劣等感を持った
- つまらない
周りからすると小さなことでも、本人にとっては大きな出来事として記憶されてしまいます。
「そんなことで」と片づけてしまわずに、辛かった気持ちを認めてあげると、気持ちが軽くなるかもしれません。
いきなり勉強が大好きになるのは難しいでしょう。
それでも、できる喜びを少しずつ積み重ねて、苦手意識を克服できるよう助けられます。
勉強の必要性を感じない
今勉強していることが大人になって何の役に立つのだろうと、ふと思った経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
教育研究所の調査によると、小学生の段階でおよそ1割が「何のために勉強しているのか分からない」と答えています。
意味がないと思うことや役に立たないと思うことには、大人であっても一生懸命になれないものです。
「やらなきゃいけないから」とか、「勉強が子どもの仕事だから」と周りに言われても納得できないでしょう。
今勉強していることがどのように役立つのか具体的に教えるなら、やる気が上がるかもしれません。
知識を得る大切さだけではありません。
加えて。思考力・集中力・忍耐力など、勉強を通して身に着けられる大切なものに気づかせてあげることも大切です。
親の口出しにうんざりしている
これからやろうと思っていたことを他人から指摘されて、やる気が失せてしまうことってあるものです。
特に思春期の子どもは、強制されることには抵抗したくなります。
親のほうも、「あなたのために言ってるのに」と、心配がだんだんイライラに変わってしまうかもしれません。
親のイライラは子どもにも伝染してしまい、勉強へのイメージは余計に悪くなってしまいます。
自分があまり勉強してこなかったエピソードを話してしまうことも、子どものやる気をそいでしまうでしょう。
子どもをイライラさせるほど口うるさくなってはいけません。
口うるさく言うより、子どもの背中を押してあげられるといいですね。
勉強するより遊びたい
勉強にマイナスイメージを持っているわけではなく、もっと好きなものがあるだけという場合もあります。
友だちと遊ぶことや趣味のほうが楽しいので、ついつい勉強が後回しになってしまうのです。
好奇心が旺盛な子どもにとっては、勉強以外にもやりたいことがたくさんあるかもしれません。
たしかに、子どもが感情を育んだり、精神的なバランスをとったりするのに遊びは大切です。
それでお子さんの感情面のニーズも満たしつつ、優先順位や時間を決めるのをアシストしましょう。
そうすれば、勉強にも取り組めるように手助けしてあげられるでしょう。
ゲーム・スマホに流される
大人でも、ちょっとスマホをチェックするつもりが、あっという間に時間が過ぎてしまうことがあります。
子どもは判断力がまだ身についていません。
ですから、ゲームやスマホとの付き合い方について親から教えてもらう必要があるでしょう。
スマホやゲームに関してルールを決めることは、子どもの自制心や責任感を育みながら、自発的に勉強に取り組む助けになります。
お子さんの勉強時間に、親が隣でスマホを触ってくつろいでいることのないようにも配慮できるでしょう。
スマホの使用ルールを決める際の注意点を先に知りたい方については、「スマホの使用ルール作りを恐れない」の項をご覧ください。
勉強しない子どもを叱るのは逆効果?
子どもは叱られてプレッシャーをかけられるとビクビクしてしまい、逆効果です。
「叱る」とは、相手のことを思い、より良い方向に導くために指導することです。
辞書によっては、相手の非をとがめ、厳しく注意するとも定義されています。
でも、子どもに限らず、プレッシャーをかけられるとビクビクしてしまい、逆効果です。
もし親がイライラして感情的に叱るなら、子どもは反抗したり、殻に閉じこもる危険さえあります。
その結果勉強するようになったとしても、叱られたくない一心からかもしれません。
一呼吸置いて子どもの気持ちを理解する
頭ごなしに𠮟らないように、一呼吸置いてみましょう。
落ち着いた気持ちで話すと、子どもの気持ちを受け入れる余裕も持てます。
子どもは自分の気持ちを分かってもらえると、親の言うことも聞きやすくなります。
子どもの気持ちを受け止めて初めて、親のメッセージが子どもの心に響くようになるでしょう。
子どもの勉強モチベーションを上げる8つの方法
子どもの勉強へのモチベーションを上手にアップさせるために、具体的に何をしたらいいのでしょうか。
多くの親御さんが効果を実感している8つの方法を見ていきましょう。
勉強での成功体験を積ませる
「難しい」とか「分からない」ものには、やる気が失せてしまうものです。
逆に、「できる」とか「分かりやすい」ことに対しては、取り組みやすくなります。
なかなか解けない問題があるなら、いったん寝かせておいて、確実に分かるレベルまで戻ってみましょう。
例えば、算数の公式は覚えられても証明問題が苦手という場合、証明問題ばかりやっていたら算数が嫌いになってしまいます。
「できない」→「楽しくない」→「嫌い」となるのです。
でも、得意な計算問題なら、「できる」という成功体験を積み重ねることができます。
その成功体験は、「できた」→「楽しい」→「もっとやってみよう」となり、勉強への自信や意欲に繋がるでしょう。
自信を持てたら少しずつステップアップして、「できる」を増やしていけるかもしれません。
志望校進学後のイメージを話し合う
子どもの将来の具体的なイメージを話し合うことも、モチベーションアップにつながります。
志望している学校に行ったら、どんなことができるかという具体的なイメージです。
子どもは勉強だけではなく、イベントや部活、友だちとの出会いを大切にしたいと思っているかもしれません。
それで、志望校の偏差値や進学実績だけに着目するのではなく、どんな雰囲気の学校か、どんな行事があるかも話してあげましょう。
志望校の楽しそうなイメージができれば、志望校に合格したい気持ちが強まり、勉強モチベーションアップにつながります。
同じように、子どものやりたい仕事を具体的にイメージしてみるのも良い方法です。
将来のイメージが具体的であればあるほど、それに向かって頑張ろうと思えるでしょう。
具体的にほめる
褒めるって意外と難しいと言えるかもしれません。
「褒めて伸ばす」ということも聞きますが、何がなんでも褒めれば良いわけではないのです。
試験で良い点がとれた時にも、結果だけを褒めてしまわないようにしましょう。
子どもが払った努力に目を向けて褒めるなら、努力が良い結果につながることを学べます。
誰でも苦手分野があり、どんなに頑張っても結果が伴わない時期もあるでしょう。
そんな時でも努力を認めて褒めてあげるなら、また頑張る気力を引き出せます。
たとえ思うような結果が出ないとしても、努力自体が大切だと気づくことができるのです。
また感謝やねぎらい、喜びを表現することも、子どものモチベーションをアップさせます。
「〇〇してくれてありがとう」とか「〇〇してくれて嬉しかったよ」という一言は、次もやろうという気持ちにさせてくれるでしょう。
勉強は塾や家庭教師に任せる
だれでも、家は安らげる場所にしたいと思います。
それで、勉強の指導は第三者に任せるというのも良い方法です。
もし、親が朝から晩まで家で勉強の話ばかりするなら、子どもにとって家はくつろげない所になってしまうかもしれません。
でも学校や塾の先生なら、四六時中子どもと一緒にいるわけではありません。
ですから、適度な距離感を保つことができます。
進学塾の費用を抑えて教育費用をセーブする方法については以下の記事で詳しく説明しています。
同じことを言われても、親から言われるより先生から言われた方が受け入れやすいかもしれません。
勉強の過程での難しい部分は、先生にお任せしてみましょう。
そうすれば子どもにとって親は、苦手やありのままを受け入れてくれる安心できる場所になります。
具体的で無理のない学習計画を立てる
何事も、前もって計画するなら成功へとつながります。
子どもにも、学習計画を立てるよう助けることができるでしょう。
「1日1ページ」とか、「月曜日は英語」というように具体的で無理のない計画にできます。
何時までは勉強の時間、そのあとは自由時間と、時間割を決めておくこともできるでしょう。
与えられた課題がある場合などは、全体量を見て日割りしてみましょう。
1日どれほどやれば終わるかを計画できるようサポートしてあげてください。
計画が無理のないものになっているか、休息や息抜きの時間も取れているか気を付けてあげるとよいでしょう。
勉強と休息のメリハリをつけることは、結果として勉強モチベーションアップにつながります。
勉強に集中できる環境を作る
子どもが勉強に集中できるような環境を整えることも大切です。
集中力をアップさせる環境とはどのようなものでしょうか。
まずは子どもの勉強スペースを整えることができます。
勉強スペースといっても大げさなものではなく、シンプルで静かなスペースです。
机に向かった時に、気を散らすものが視界に入っていないか見回してみましょう。
漫画やゲームやサッカーボールなどの趣味の物は、座って背面側に置くようにするなら集中する助けになります。
机まわりはシンプルにして、勉強に関係したものだけを置きましょう。
近くでテレビを見て笑っている声が聞こえたりするのも、集中力を切らす原因になります。
自然と勉強の時間が作れるように、生活のリズムを整えてあげましょう。
親も学びを楽しむ姿を見せる
親自身が新しいことを学ぶのを楽しむ姿を見せるなら、子どもにも良い影響があるでしょう。
よく「子どもは親の背中を見て育つ」と言います。
何かの資格をとるための勉強をすることもできます。
そこまでしなくても、知らない英単語を積極的に覚えようとしたり、読書を楽しむだけでもよいでしょう。
知らないことを知る楽しさ、何かを身につける楽しさを親自身が味わう姿は、勉強へのイメージを良いものにします。
スマホの使用ルール作りを恐れない
スマホをどのように使うかは、親が子どもに教えてあげる必要があります。
スマホを際限なく使うのはリスクが伴うことに、子どもはまだ気づけないからです。
今ではスマホやタブレットは必需品になり、ごく小さなうちから触ることに慣れています。
親より子どもの方が、色々な機能を上手に使いこなすかもしれません。
文部科学省の調査によると、「ゲームで遊ぶ時間を制限」したり、「スマホの使い方についてルールを決める」ことは子どもの学力向上に良い影響があるようです。
スマホをどのくらい使うか、子ども自身に計画を立てさせることも勧められています。
ルールを守れなかった時のペナルティも、前もって決めておきましょう。
さらに、スマホを使う際のマナーやモラルを教えることも大切です。
正直さやセルフコントロールすることは、勉強だけでなく、大人になっても役立ちます。
まとめ
子どもが勉強しないように見えるときでも、親にできることはたくさんあります。
しかし、全部完璧にできる親は一人もいないということを忘れないようにしましょう。
一人で苦しい気持ちを抱え込むのでなく、周りのサポートも受け入れてください。
子どもの気持ちに寄り添ってあげることは大切ですが、親自身もストレスをためこまないように対策しましょう。
親子がチームとして一緒に戦うなら、受験という人生の一大事もきっと乗り越えられるでしょう。