もっと集中力がもてばいいのに
受験生は、やる気はあるのに頭と体がついていかないことがあるでしょう。
集中力を高めるには、睡眠・栄養・運動をしっかりとることが欠かせません。
その中でも特に大切なのが、栄養バランスの良い食事です。
食べ物で、そんなに集中力が変わってくるのでしょうか。
集中力のメカニズムを知ると、食べ物が大事と言われる理由が分かります。
この記事では、受験生におすすめの集中力を高める食べ物と、気を付けたい食べ方を解説します。
なぜ集中力が切れるのか?
脳は全身の器官をつかさどり、多くのエネルギーを必要とする重要器官です。
脳の活性化には神経伝達物質が関わっていて、思考をコントロールしています。
たくさんの情報の中から、自分に必要な情報を取捨選択したりもしています。
そのような働きを持続させるには、多くのエネルギーが必要です。
勉強に集中しすぎて栄養補給しないなら、脳がエネルギー不足になり集中力が下がってしまいます。
スタンフォード大学でのストレスに関する研究によると、強い集中力を必要とする対局中のプロのチェスプレーヤーは対局日に最大6,000カロリーを消費します。
これは、平均的な人が1日に消費する量の3倍で、プロのアスリートに匹敵する量です。
脳が集中するためにどれだけカロリーを消費するかわかるでしょう。
集中力を高めるために脳に必要な栄養素には、主に以下があります。
- ブドウ糖
脳のエネルギー補給 - ポリフェノール
抗酸化作用があり、集中・記憶力を高め、リラックス効果もある - EPA・DHA
脳の記憶中枢に働きかけ、学習・記憶・思考力を高める - ビタミンB群
身体の疲れを取り、集中力を高める - ビタミンC
脳を活性化し、リラックス効果がある - レシチン
脳への血流改善・脳細胞の活性化により記憶力を向上させる - 亜鉛
脳の健康を維持する - カフェイン
覚醒作用があり集中力を高める
受験生おすすめの集中力を高める食べ物10選
集中力を高める栄養素を取り入れるために、具体的に何を食べたら良いのでしょうか。
ここでは、受験生におすすめの集中力を高める食べ物10選をご紹介します。
バナナ
バナナにはブドウ糖が豊富なだけでなく、他にも数種類の糖質が含まれています。
脳のエネルギー補給に欠かせないブドウ糖は、素早く吸収されて、すぐにエネルギー源となります。
集中力が下がるのは、脳がエネルギー不足になっているサインです。
でんぷん・ショ糖・果糖などの糖質は、互いに作用したり分解したりしながらエネルギー源になります。
すぐに脳のエネルギーになるブドウ糖と、持続的にエネルギー補給してくれる糖質が含まれるバナナは優れモノの食材なのです。
そのまま食べられる手軽さも、勉強の合間のおやつにぴったりと言えます。
チョコレート・ココア
チョコレートやココアの原料であるカカオは、ポリフェノールが豊富です。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、免疫機能の低下や老化を引き起こす活性酸素を取り除いてくれます。
さらに神経細胞の成長やシナプスの形成をコントロールし、記憶力や集中力を高めてくれます。
チョコレートに含まれるテオブロミンも、自律神経を調節する作用があるのでリラックス効果も期待できるでしょう。
試験前に高カカオのチョコレートを食べるなら、試験中に集中力を発揮する助けになるかもしれません。
魚
サバ・アジ・イワシ・サンマ・サーモンなど脂ののった魚にはDHA・EPAが豊富に含まれています。
DHAは、ドコサヘキサエン酸やオメガ3脂肪酸という名前でも聞いたことがあるかもしれません。
脳の記憶中枢を構成する脂質で、頭の働きが良くなる成分と言われています。
EPAには血液サラサラ効果があり、脳内の血行が良くなることで認知力も鋭くなるようです。
カツオやマグロなどの赤身の魚にはビタミンBも多く含まれます。
ビタミンBは体の疲れを取り、記憶力を高める効果を期待できるでしょう。
疲れて料理ができない時にはサバの缶詰、お弁当なら煮魚が入ったものを選ぶとよいかもしれません。
加熱するより生の方がDHAを効果的に摂取できるので、刺身もおすすめです。
ただし、受験直前期には食中毒にはくれぐれも注意しましょう。
卵
卵黄に含まれるレシチンは、脳への血流を改善し、脳細胞を活性化させる働きがあります。
卵は、脳や神経の機能維持に必要なα-リノレン酸に加えて、魚と同じようにEPA・DHAも豊富です。
気分を整え、記憶力を維持する効果のあるコリンの含有量が最も多い食品の一つでもあります。
認知障害・アルツハイマー病のリスクを下げる効果が期待されているビタミンB6・B9・B12も豊富です。
卵は集中力や記憶力を高めてくれるのに最適な食材と言えるでしょう。
大豆
大豆も卵と同じくレシチンが多く含まれている優秀な食品です。
大豆には抗酸化物質であるポリフェノールも含まれています。
ポリフェノールには集中・記憶・学習能力を高める効果を期待できるでしょう。
加えて、大豆には以下のような受験生におすすめの栄養素も含まれています。
- チロシン
脳内のスムーズな情報伝達や集中力を高める効果がある - ホスファチジルセリン
記憶ケア成分とも言われる
豆腐、納豆、枝豆、豆乳、味噌などの大豆由来食品からも、これらの重要な栄養素を摂取できるでしょう。
ナッツ
ナッツは記憶力を支え、脳の健康を維持してくれる食材と言われています。
細胞の損傷を防ぐ抗酸化ビタミンであるビタミンE、集中力や判断力を高めるα-リノレン酸が豊富です。
α-リノレン酸は脳神経の発達・維持・活性化に関わり、その一部は体内でEPAやDHAの材料としても働きます。
すべてのナッツ類にこれらの成分が含まれていますが、特にクルミはα-リノレン酸を豊富に含んでいます。
勉強の合間のおやつとしても、つまみやすくおすすめです。
全粒穀物
全粒穀物はビタミンEが豊富で、血糖値が上がりにくい食品と言われています。
血糖値が急激に上下すると集中力が下がってしまいます。
血糖値の急変を避けるには、血液中にゆっくりとエネルギーを補給することが必要です。
パン・白米・パスタのような精製された炭水化物は血糖値をすぐに上昇させてしまいます。
物覚えや注意力、情緒にも影響するでしょう。
毎日のご飯に雑穀米を加えて炊くなら、記憶力・暗記力を高める効果を期待できるでしょう。
緑黄色野菜・果物
緑黄色野菜の中でも特に、ブロッコリーは脳の健康を維持すると言われます。
ブロッコリーは記憶力に関係があるとされるビタミンKが豊富です。
抗炎症および抗酸化作用も高いと言われています。
アボカドも、オメガ3系脂肪酸、ポリフェノール、ビタミンB9・C・E・Kが豊富な食材です。
アボカドにはバナナの2倍のカリウムが含まれています。
カリウム不足は気分のムラや精神的な疲労を引き起こします。
野菜や果物に含まれるビタミンCは、脳を良いコンディションに保つ抗酸化物質です。
不安やストレスをコントロールする効果もあります。
受験生であれば積極的に摂取したい栄養素でしょう。
オレンジやフルーツジュースなら手軽に摂取できます。
貝類
牡蠣などの貝類には亜鉛が豊富に含まれていて、脳の健康を維持する食材の中でもかなり優秀です。
理化学研究所が示した亜鉛と免疫システムに関する研究成果によって、亜鉛が免疫システムのなかで情報伝達係という重要な役割を果たすことがわかりました。
亜鉛は全身の細胞内に存在し、タンパク質やDNAを合成したり、脳細胞の成長や脳の健康を維持するのに不可欠な栄養素です。
体内の様々な酵素を正常に働かせるために必須ミネラルとも言われています。
受験前の風邪を絶対にひきたくない時期に亜鉛の摂取は欠かせないでしょう。
貝が苦手なお子さんも多いかもしれません。
貝を食べられない場合は、亜鉛を含む植物由来の食品やサプリメントを活用しましょう。
亜鉛を含む植物由来の食品は、かぼちゃの種子、ひよこ豆、小麦胚芽、カシューナッツ、ダークチョコレートなどです。
豚レバー、牛赤身肉、油揚げ、卵などにも含まれているので、これらの食材からも亜鉛を摂取できます。
緑茶
カフェインは脳を目覚めさせる働きがあることで知られています。
そこでおすすめなのが緑茶です。
コーヒーだと、苦くて苦手という人も多いかもしれません。
カフェイン中毒や睡眠障害になるリスクを考えて控える場合もあるでしょう。
緑茶には脳の機能を改善し、記憶力や空間認識能力を高める効果があると言われています。
ポリフェノールなどの抗酸化物質やアミノ酸も豊富です。
ストレスを解消する神経伝達物質GABAを活性化するL-テアニンも豊富に含まれます。
L-テアニンはカフェインと併せて摂取することで効果が上がる性質があります。
ですから、緑茶はストレスを解消するために効果的な飲み物と言えます。
勉強のお供に、緑茶を準備してあげると良いでしょう。
水分摂取がカギ
脳の働きを活性化させる食べ物は「ブレインフード」と呼ばれています。
ブレインフードはしっかり水分を摂ることで、より効果が高まるようです。
実際、脳は80%以上が水で、脳内で起こる化学反応において重要な役割を果たし、エネルギーの生産に水は欠かせません。
知的作業に入る前に、500mlの水を飲んだ人は飲まなかった人に比べて、脳の反応時間が14%も早くなった報告もあります。
脳は脱水に敏感で、水分不足になると疲労感・めまい・脳の萎縮が起こる危険もあります。
受験シーズンは水分を十分にとるようにも気を配ってあげましょう。
集中力を阻害する食べ方と食習慣は?
集中力を高めるには、何を食べるかだけでなく、どのように食べるかも大切です。
集中力を阻害する食べ方や習慣とはどのようなものでしょうか。
ここでは気をつけたい3つの点を取り上げます。
よく噛まないで食べる
食事の際は、30回以上噛むようにとよく言われます。
よく噛むことで消化や吸収が良くなり、胃腸環境を整えてくれるでしょう。
でも実は、胃腸だけでなく脳にも良い作用があります。
よく嚙むと、脳の前頭前野が活性化するのです。
前頭前野が活性化すると、知覚・判断・想像・推論・決定・言語理解などに関わる認知機能が改善します。
記憶の司令塔とも呼ばれる海馬も活性化するので、記憶力の向上も期待できるでしょう。
同じ論理で、ガムを嚙むことも集中力アップの効果があると言われています。
糖質を摂り過ぎる
ブドウ糖が脳のエネルギー源になるとはいえ、手軽に摂れるお菓子や甘い飲み物を大量に摂取するのは危険です。
一度に大量の糖質を摂ると血糖値が急上昇し、インスリンというホルモンが過剰に分泌されます。
そして、今度は血糖値が急激に下がることになります。
この状態になると、眠くなって頭がボーっとしてしまい、低血糖状態になる危険さえあるのです。
低血糖はとても怖く、冷や汗、頻脈、手や指が震えるといった症状が現れ、勉強どころではなくなってしまうでしょう。
他の栄養素にも言えることですが、摂取すればするほど良いということでは決してないので、適量を摂るようにしましょう。
勉強中の夜食やおやつによる糖質の摂り過ぎを避けるために、サプリメントを活用する家庭も増えています。
子どもの体と脳の健やかな成長をサポートする成長サプリを以下の記事でランキングしています。
食事の間隔が長すぎたり短すぎたり
血糖値が急激に上下しないようにコントロールするためには、食事の間隔も重要です。
若いうちは朝食を抜いてしまう人が多いかもしれませんが、朝食抜きの空腹状態で昼食をとると、血糖値が急上昇してしまいます。
食事を抜いたり、食事と食事の間隔が空きすぎると、血糖値の変動が激しくなってしまうのです。
血糖値を一定にコントロールするには、食事と食事の間を5,6時間空ける必要があるでしょう。
毎日できるだけ同じ時間にとるほうが、血糖値をコントロールしやすくなります。
集中力を高めるための間食も、次の食事に影響しないような量にしないと、かえって悪影響になってしまうでしょう。
また、食後は副交感神経が優位になり、胃腸が消化・吸収に働きます。
食後すぐに勉強を再開するのではなく20~30分休憩時間をとるなら集中力を高めることができるでしょう。
まとめ
受験生が集中力を高めるために、何をどのように食べるかはとても大切です。
もちろん、これさえ食べれば無敵というようなものはありません。
脳に良いからといって、たくさん摂り過ぎてしまうと逆効果になることもあります。
普段の食事に、脳に必要な栄養素が含まれる食材を、バランス良く取り入れるようにしましょう。
いくらお母さんが気を付けても、本人の自覚がないと難しい場合もあります。
親子で協力して、意識的に取り組む必要があるでしょう。
受験は長期戦ですが、毎日の食事で栄養補給しながら笑顔で乗り切れますように。